まるっとまったりまろやかに

ゲームの感想、考察、実況プレイ動画のこと。日記も。

真の貧乏舌とは

休みの日に動画編集をしていた。

3時間くらい続けていたかな。休憩なしで作業していた自分に気が付き、これはマズイと思って立ち上がった。休憩を取らないのは私にとって持病のようなもの。休みの日に一日中アレコレしてるもんだから、全然休めないのだ。おかげで体を壊したこともある。

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しかし家にいるといつまで経っても休まない。動画の編集をしたいし実況の収録もしたい、家事もアレコレ手を付けたい…家が仕事場みたいになっちゃうんだよな。

そんな時、手っ取り早く休憩を取る方法は「外に出ること」だ。歩くのは頭と心と体にいい。人によって外に出かけることは休憩じゃないのかもしれないが。

予約していた本を取りに、図書館へ行く用事もあるしな。サッと着替えてカバンに手帳を突っ込み外に出た。てくてくと最寄りの駅に向かい、電車に乗る。傘を持たなかったことを電車の中で思い出した。

到着。電車から降りる。せっかくここまで来たんだから、どこかでコーヒーでも飲みたい。図書館の閉館時間まで随分あるし。そう思い、駅の近くをぶらついた。

大きい建物の側を通った時、建物の中の人と目が合った。ガラスの向こうのご老人は、サンドイッチをガブリとやろうとしていた。あ、ここにパン屋があったっけ。よく通る道なのに、ここのパンは食べたことがなかったな。コーヒーくらいはありそうだし、ここで休憩するか。そう思って入っていった。

 

パンの値段にたじろいだ。300円…350円…410円!?パン1個?!こんなちっちゃいクリームパンが!?と声を出したくなったが、唾と一緒に飲み込んだ。

幸いコーヒーの値段は安めだったので、パン・オ・レザンとチョコ系のパンを一緒に注文した。席に座って一休み。手をこすり合わせて、パン・オ・レザンにかぶりついた。

まずかった。

なんとなく口に合わない。香りも薄いし、クリームの滑らか具合も、なによりこのパン特有のジューシーさがない。パサッとしている。例え作り置いたものだとしても、パン・オ・レザンに含まれる脂肪分がパサツキを許さないはずだ、本来なら。

一瞬、辺りを見回した。みな何も言わずにパンを食べている。美味そうですらある。少なくとも私のように「え!?オレのパンだけマズイのか!?」と疑いの目を向ける客はいないようだ。

気を取り直してチョコ系のパン。さっき焼き立てを店頭に並べていたのを見たんだ。それを貰ったからな、チョコが溶け出てさぞかし

美味しくなかった。

え!?そんなことある?あったかいパンって大体美味いじゃん!5個入り120円のパンだって温めたら全部ぺろり食べられるじゃん!いやあっためなくても食べるよ!!この…デニッシュの…これはなんだパンか!?

また周りを見る。私と同じパンを食べている人もいる。美味そうに。ちょ、ちょっと待って!私のパンと交換してくれないか?!と頼みたかった。大人なのでそんなことはしない。あくまで真顔でじっと見た。

このパンは合計で700円もするのか…700円…700円と思いながらコーヒーを啜る。こっちは普通のコーヒーだ。味覚障害が出ているわけではないらしい。

どうやら私の味覚がおかしくなっているのではなく、そしてこのパンがマズイのではない。私の舌がこのパンたちを受け入れないのだ…そうか…と少ししょんぼりしつつ、しばしくつろぐ。30分くらいして、席を立とうとした。

後ろを振り返ると、レジ前に長蛇の列。みな様々なパンをトレーに乗せている。このパン屋はどうやら人気店らしい。店を出る時に「TVで紹介されました!」というポップも見かけた。そうか…みんなここのパン美味いのか…

図書館に向かっている時も「まずいパン」が頭から離れない。人によって700円は大金にもなるし、端金にもなろう。私にとっては、パンに支払う額としてはけっこう大きい。

しかし、損をしたと思って落ち込んでいるのではない。高いパンが口に合わなかったことがショックだったのだ。

 

思い返してみれば、昔勤めていた会社の社長にご馳走になったうな重も美味しくなくて、帰りにすき屋に寄ったことがあった。父が買ってきたカニをほっといて、ちくきゅうにマヨネーズ付けて喜んで食べていたこともある。無印良品のカレーよりも3パック400円くらいのやつが好きだったりするし。

今まで「オレは安くても高くても、どんなご飯でも美味しいと感じられる、貧乏舌なんだよ」と自分を紹介してきた。

でも数年前から「ある程度までの金額なら何を食っても美味しく感じるが、高額な食べ物になると口に合わなくなる、そういう不憫な貧乏舌を持っているのではないか?」と疑問を持つようになった。

そして今日(こんにち)。パンを2個食べたこの日に、確信した。私は貧乏舌であるが、ただの貧乏舌ではない。真の貧乏舌であると。そしてその境の一つが「700円」であると。

この悲しみ、伝わるだろうか。世の中にある全ての食べもののうち、一定のレベルを越えると、その食べ物の楽しさが分からなくなるのだ。美味しいものは山ほどあるのに、努力をすれば食べられるのに、決して異国の文化だからとか難しい話でもないのに。

パサツイたパンオレザンによって今、分断された。700円のパンを楽しめるものと、楽しめない私!!くそー!

ちょっと泣きそうになりながら、図書館に着いた。私が図書カードを忘れたので、予約した本を受け渡せないと言われた。すみませんと謝り、図書館を出るとザンザカ雨が降っていた。

この雨だ、カバンに本を入れていたら、きっと濡れてしまってダメになる。本を借りれなくてよかった。そう思いながら、ずぶ濡れになりながら駅に向かった。人に見せられない顔をしていたと思う。

 

次の日の朝、すぐにローソンへ向かった。120円であんマーガリンのパンを買い、小走りで家に帰った。

半分に切り、レンジで20秒加熱。敷いたラップで包んで食べる。

甘くてしょっぱくて、美味かったー!!いえーい!!

 

コンビニのおにぎりに一々はしゃぐ男は普段実況プレイ動画を投稿している

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