まるっとまったりまろやかに

ゲームの感想、考察、実況プレイ動画のこと。日記も。

消えかかっているメッセージ

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用事がない限りこの駅には降りない。近くにあるスーパーは品揃えがいいんだけれどもな。この日は区役所に用事がありやってきた。

区役所の前に、同じ看板が2枚並んで立っている。多分これはペンキで描かれているんだろうな。でもいつ頃に立てられたものだろう?看板の裏でも見たら、作られた日付が書いてあるのかもしれんが、表面にデカデカと「危険!」と書かれているので止めとこう。

この看板、比べてみると違うところが多い。それがオイラにとっては面白い。

例えば赤い文字の掠れ方。インクは時間が経てば風化し薄まるが、インクが濃く乗った場所だけは残るはずだ。右の看板は「だ」の一画目が濃く残り、左の看板は「だ」を構成するそれぞれの線の書き始めだけが残っている。年月が経つほど掠れて薄くなるのだろうから、2枚を見比べれば左の看板が先に立てられたのかもなと、オイラは感じる。

しかし看板に描かれた青っぽいズボンを見比べるとだ。ズボンの縫い目らしき線が、右の方が薄いのだ。まさか右の看板が先に描かれたのか?よく分からない。よく見るとスカートのような布の塗られ方も違うようだ、ハケの跡が左右で異なっている。そもそも何で同じ看板を隣に作ったんだろう。この2枚の看板は、距離にして5メートルほどしか離れていないってのに。不思議だ。

 

このマークは、近くに横断歩道がありますよ、のマークだ。なんでひし形なのかはよく分からない。道路に白線で描かれたこのようなマークは、線が重なったところだけは暑く塗られているので残っている。なので、ひし形の角の部分だけが残っているように見えるし、どういう軌跡で描かれたのかを予想することが出来る。

こういうマークは街の至る所にあるが、どのマークもハゲてきてからが本番だ。どうハゲてるかを考えるのは面白い。このマークがあろうがなかろうが、横断歩道で人が待っていても無視して一時停止しない人は多いが、歩道前で手を上げているとかなり停まってもらえる。オイラが住んでいる地域での話だと思うが、ぼんやり運転している人が多いのかもしれない。

 

話がそれた。街にある、掠れたインクや道路表示が好きだ。そこには時の流れなどが染み付いている……と書いてみたけれど、別に廃墟とか歴史的建造物についてはそこまで興味はない。時の流れなどの”など”がオイラには結構重要なんだ。と思う。

例えばオイラが道路工事をして生計を立ててる人だったり、街にある看板について色んなことを知っている人だったら、不思議がらずに答えをスパーンと出すことが出来ると思う。この2枚の看板はこういう理由で掠れています、こういう歴史的な背景によって2枚になりました、とかね。

でもそれじゃ面白くないんだ。分からないことを憶測であれやこれやと語る、いや頭の中で妄想したり、ただただ不思議がること。それがオイラは好きなんだ。知らないことを知る楽しみではなくて、知らないという状態そのものを楽しみたい。

知っている→知らないという状態には決して戻れないんだよな。いつかオイラが色んなことを知ってしまうその前に、知らない状態を楽しんでいたいんだ。自分が知らないことは、まだまだ山のようにあるな。

 

と、ここまで書いといて、今度の土日に仕上げて投稿しようと思っていたら。DPZでこんな記事が投稿されていた。

dailyportalz.jp

オイラはスズキナオさんのファンなんだが、その方が今オイラが書いたような「消えかかっている、あるいは消えてしまって読むことのできない看板」について書かれた本を紹介なさっている。また読みたい本が増えた。