令和6年3月6日、オイラの描いたイラストの、グッズショップが出来た。
グッズを作った経緯や、作って気付いたことをここに残しておく。
経緯
オイラはマストドンというSNSの、とあるインスタンスに所属している。わからない人はこれを読んでくれ。
所属し始めたのは一昨年の12月だな。その中でよいさよいさとマストドン生活をしていた。そのインスタンスの中では、各々が自由に喋って歌って楽しんでいた。絵を描いて遊んでいる人間もいた。私は自分の家のぬいぐるみを見ながら、その絵を描いた。
自分は羊のぬいぐるみを真似て描いたはずなのに、紙に描かれているのはよく分からない生き物。ツルンとしていてかまぼこの様だし、肩幅が広い。これじゃ羊じゃなくて羊かまぼこマンだよと呟くと、インスタンスの人から「それは良いな」と反応を貰った。これが私が生み出したキャラクター・羊かまぼこマン誕生の経緯だ。
あれから約一年半、ずっと羊かまぼこマンを描いている。思いついたものを付箋に描いたり、他人の創作物を真似してノートに描いたり、人にあげるために描いたり。気がつくと羊かまぼこマン=オイラだと思われるようになってしまった。
ある時、フォロワーの誰かが羊かまぼこマンのグッズが欲しいと言い出した。何人かもそれに同調していた。付箋や裏紙に、気の赴くがままに描いていたこのキャラクターのグッズが欲しいのか。というか、グッズってそんなナチュラルに欲しがったり作れたりするものなのか。興味が湧いた。
グッズを作って皆さんにかわいがってもらいたい!というより「全くの素人がグッズを創る」という体験をしてみたいと思った。だもんで1月17日にグッズ制作するぞと呟き、そこから作業を始めた。最初のグッズは1月末くらいには出来ていたんだが、どうせならもっと作ろうと思い、ショップを非公開にしたまませっせこ色んなアイテムを増やしていった。そして3月6日にショップをOPENした。ここまでがOPENまでの経緯だ。
出すまでにやったこと
グッズはSUZURIで出した。画像データを読み込ませると、その1枚の画像から56種類ものグッズを作れる。あまりにも手軽。しかしオイラはたいへんに手間取った。
まずオイラのイラストは全て紙に手書きしているものだから。だもんでSUZURIに登録するためには、描かれてるイラストを写真に収める必要がある。しかし我が家にはスマホのカメラくらいしかないし、撮影環境も特に整えていないので、自分の影が映り込んだり光の当たり方による陰影がついてしまって、なかなか苦労した。
更に紙は透過背景ではないので、自分で切り抜きをしないといけない。それがめんどくさかった。切り抜く方法はいくらでもあるんだが、自動的に線の境界を判定して切り抜くと、線がツルッとしたりガサガサっとしてたりする。オイラが描いた手書きのイラストを良いねと思ってもらったのに、いざグッズにしたら風合いが違うというのは、なんかイヤだった。だもんで消しゴムツールでチマチマチマチマ消していった。
グッズがある程度出来てからも困った。自分が描いた絵は大きくてもはがきサイズ、小さいものだと付箋サイズ。それを写真に収めてイラストデータにしてグッズにするわけだ。ではそのグッズに印刷されたイラストは、どの程度の解像度になっているのか?それが分からなかった。SUZURIのサイトでプレビューを眺めることはできるが、グッズの実寸を見ることは出来ないので、イラストが引き伸ばされてガビガビになっていたりしたら困ると思った。だもんでショップを開く前に幾つか自分でグッズを買い、絵のサイズを確認し、その後修正したものもある。大きく印刷する分には大丈夫だが、小さく印刷するのはよく考えた方がいいことが分かった。
……ここまで描いておいてなんだけど、こんなことはおそらくイラストレーターさんやデザイナーさんは知ってて当然というか、「犬には『いぬ』という名前が付いている」くらい常識レベルの話なんじゃないかと思う。しかしオイラはそれを全く知らなかったので、なかなか困ったのだった。
もうひとつ困ったのは「1つの写真毎に作れるグッズは1種類ずつまで」という点だ。イラストAでアクリルキーホルダーを作ったとしよう。イラストを90度回転させたイラストA'でアクキーを作ろうとすると、イラストA'をまたSUZURIに登録しないといけない。この2つのイラストは向きが違うだけで同じイラストなのに、種類としては別なんだ。だもんで「このグッズにはこのイラストが合うのに、こっちのグッズ用にイラストをまた加工しないといけない!」って頭を抱えることが多々あった。
こんなところか。たくさん困ったのだった。それを乗り越えて来たんだぞ、すごいなお前は(オイラに向けて描いています)。
実際にマストドンに投稿した画像をそのままグッズにしているものも多いが、描き下ろしのイラストによるグッズも作った(上の画像の左の生き物)。これを画用紙にひたすら練習したのは楽しかった。絵を描くのは面白い。
ショップを作ってから思ったこと
自分の描いたイラストがグッズになるのが面白い。これが一番強く思ったことかもしれない。
昔UNIQLOのサイトで、オリジナルのデザインを送ってTシャツにするってのがあった気がする。ナイキもオリジナルのシューズをデザインできる(抽選でそれがもらえるだっけ?)ってのもあった。ああいうの好きだ。別に誰かに見てもらいたいわけじゃなく、一人で作って一人でニヤニヤしてるのが好きだ。ママゴトというか、ごっこ遊びが好きだからだと思う。「Tシャツデザインごっこ」としてTシャツをデザインするのだ。
でも実際に実現して継続させる気はない。だって遊びはすぐに飽きるし、それをするのは超大変だ。でもSUZURIに絵をポンと乗せるだけでグッズが出来る。自分の絵が文鎮になったりする。すげ~って面白がっていた。
グッズにするために絵を調整するのは別に面白くはなかったな。自分の理想に近づけるためにデジタルツールでチマチマするのは、お絵描きやオママゴトというより、作業とか仕事っぽい。動画編集も楽しい時とそうじゃない時があるからなぁ。完成した時の達成感を味わえたのが良かったな。
ショップをOPENしたことをインスタンス内でお知らせをしたら、反応がそれぞれだった。見て楽しんでくれた人、買ってくれた人(!!)、色々いる。だけど殆どの人は反応しなかった。そういうものだと思う。オイラかオイラの絵に興味がなければ反応しないのも頷けるよな……と思っていたが、通知欄を見ていると、あることに気付いた。オイラからすると面白いことだったので書き残しておくけど、人によっては嫌なこと書いてんな~と思うかもしれない。気になるようなら引き返した方がいい。あとグッズに反応しないことを咎めるようなことは一切しないし思ってもいない。
グッズに一切反応しない人は、だいたい3種類に分かれているようだった。
1種類目はオイラにも描いた絵にも興味がないし、グッズにも興味がない人。2種類目はオイラには興味があるけど、描いた絵やグッズには興味がない人だ。
例えば学校のクラス内で「友達でもなく関心もない奴が絵を描いてもどうでもいい」と思う人はいるだろうし「友達だけどそいつの絵には興味がない」って思う人もいると思う。その感覚は割と普通というか、オイラもそうだなーと思う。友達だったらそいつの全てに興味を持てるかって言われると、違うもんな。
気になったのは3種類目の人のパターン。オイラにもオイラが描いた絵にも興味はあるけれど、グッズに”だけ”は絶対に反応しない人、だ。
オイラは基本的に絵を描いたらすぐにマストドンに投稿する。するとすぐにいいねが付いて、イラストにお褒めの言葉や感想を頂くこともある。ありがたいことだ。そういった人達の中でも、グッズには絶対に反応しない人がいる。
グッズとはいえ同じ絵だ。SUZURIを挟んではいるが絵を投稿しているのにスルーされる。しかしその後すぐにマストドンに直接絵を投稿すると、矢のように早く反応される。それ以外でもずいぶん仲良くさせてもらっているのだが、グッズだけはダメなのだ。これはどういうことだろう?と気になった。
色々考えられるが、ひとつは「グッズとしては魅力がない」ということなのかもしれない。オイラが描いた絵として捉えているのではなくて、グッズとして魅力的か、欲しくなるものかどうかを瞬時に、かつ曖昧に判断して無反応なのかもしれない。
オイラが所属しているインスタンスは、割と長閑な雰囲気がある。人のことをよく肯定する。ある行為の出来不出来ではなく、行為そのものを肯定する人が多い。そういう人たちの肯定によってオイラは嬉しくなり、絵を描き続けたという経緯がある。しかし一部の人にとっては、グッズになると話は別なのかもしれない。金銭のやり取りが発生する”仕事”として見ているのかもしれないなと思った。
オイラは板前として働いていたので、魚を捌ける。だもんで人が魚を捌いている姿を見る時は、いつもとは別の目線で見ているし、”評価”をしようとする。ここが自分の嫌いなところであるが仕方ないところでもある。これに近い気がする。
ちなみに3種類目に該当する方には、イラストやデザインを本業としている人が多い。プロの目線でオイラのグッズを評価しているのだろうな、と思う。それは少し光栄だし、もうちょっと甘く見ていいねくらい飛ばしてくれてもいいのよ?とも思っている。
ただ、オイラのグッズに反応する人の中にも、もしかしたらデザイン関係のお仕事をなさっている人もいるかもしれない。これは全部オイラの予想さ。
あ、別にグッズを買って欲しいとか、オイラの絵を見て欲くてこれを書いたわけじゃない。反応を貰えなくても各々思うところがあるだろうし、それは自由だと思っているのであんまり気にしてない。単純に「こういう傾向があるな、面白いな」「こういう気付きを得たぞ、面白いな」と思ったから書いている。
そう、素人がグッズを出すのは思ったよりも簡単だけど、それでもめんどくさいということが分かった。グッズを出すことに挑戦しなければ分からなかったことだ。その経験を得ただけで、オイラはとっても嬉しい。それでいてなお、グッズに反応をもらうなんて、夢のようである。
グッズを提案してくれた人、それに賛同してくれた人。オイラがグッズの進捗を報告する度に反応してくれた人、グッズを見てくれた人に買ってくれた人、あと絵とか関係なく仲良くしてくれる人、羊かまぼこマンをかわいがってくれる人、このインスタンスの管理人であるくろりんごさん、サーバー代金をカンパしたオイラ以外のすべての人、インスタンス外で反応くれたり仲良くしてくれる皆皆さん、どうもありがとうね。
ということで、最後は感謝を伝えて終わりです。実は感謝を伝えたかったからこの記事を書いたんだけど、それだけだとキレイすぎるなと思ってあれこれ付け足してみた。ではまた。