まるっとまったりまろやかに

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古本屋でエッセイを買って

古本屋で村上春樹さんのエッセイを買った。会計が済んで店長さんとお喋りをする。店長さんでも本を読む時間を作らないと読めない、と仰っていた。手元に置いていても結局スマホを見てしまうと。だから逆に、スマホを触る時間、そのタイミングを決めて、それ以外ではスマホを見ないようにしたらしい。店長さんは喫煙者なので、一服する時にスマホを触る。片手でタバコを吸い、もう片方の手でスマホをすいすいしてるんだろうなと思う。俳優の内野聖陽さんに顔立ちが似ている。

オイラもそうだ。本を買ったり借りたりするけど、読もう!と思わないと読めない。喫茶店に着いてもまずやることはSNSをつつーっと眺めることだし。店長さんは「スマホが悪いわけではないけれど、そこには自分が得たいものが無いような気がするんです」と言っていた。それでも探させてしまうのがスマホのすごいところだと思う。

外の喫煙所で、吸いながら紙の本を読む人っているんだろうか。タバコの匂いが染みつきそうな気がする。でも片手で本を構えて、咥えタバコでページを捲る姿はなんとなく良い。火と煙がそう感じさせるんじゃないかなーと思ってる。焚き火でも同じように感じるから。

そんなことを考えながら電車に乗って、家に帰ってきた。

 

本を買ってきて気付いた。今この家には村上春樹さんのエッセイが3冊ある。うち2冊は図書館で借りてきたものだ。すっかり忘れていた。返却日も近いことだし読んでいく。この「返却日がある」ってのが良いんだよな。読まなければいけない状況を作り出してくれる。かといって返却したら二度と読めないわけではないので、自分を縛る縄としては、緩い。読むキッカケとして期日があるのは良いよなーと思っている。

このエッセイ集の中で村上さんは、作家の方との付き合いはあまり無いと書かれている。その節(章なのか?)の半分、いや3割くらいは別の理由が書いてあるんだけれど、残りは小説家とその界隈(文芸界隈といえば良いのかな)に対してあんまり好きじゃないということが書いてある。同業者だからなのかねぇと思いながらも、オイラはちょっと、安心したんだ。

 

オイラはその界隈の人たちに怒られたことがある。今までの人生の中で4人にだ。直接会ったわけではなく、すべてSNSで。もちろんオイラはまったくの素人で、こうやってブログを更新することはあれど、小説を書くだとか俳句を詠むだとか、そういった活動はまったくしていない。

しかし例えば、オイラの投稿が本来意図していた意味とは別の意味に捉えられ、引用RTで晒し上げて「こういうヤツはクソだ」と書かれたり、DMで言葉遣いについて説教をされたり。新興宗教にハマりそうな人間だなとも言われた。状況も人も投稿内容も4種類ぜんぶ違う、なんならリプライを飛ばした覚えもないんだが、なぜか見つかる。

どうもオイラとその界隈の人とでは相性が悪いらしい。もちろん何か失礼なことを言って怒らせているわけだから、オイラが悪いんだとは思う。ただ検索すれば名前も顔もポンと出てくるような人たちに見つかって怒られるという経験は、あんまりしたくないなぁ。

プロボクサーっているだろ。ああいう人と殴り合いになったら、オイラがトンカチとか持ってても勝てる気がしないんだよな。なぜならオイラは戦う力がまるでないから。
それと同じで、言葉の力で商売をしている人と、その言葉で殴り合いになったら、オイラなんか殴りかかる前にボコボコにされてしまう。ただ、プロボクサーは素人を殴らない。態度で人を黙らせることはあったとしてもね。剣の達人がいたとしても、それを駅ナカとかでブラブラさせてたら即逮捕だ。言葉を武器にできる人は、そうじゃない。そこがオイラは結構こわい。

 

村上さんのエッセイを読んで「ちょっと安心したところがある」と書いたのは、このためだ。オイラは文芸界隈の人がちょっと怖い。全身にタトゥー入れてるヤンキーの兄ちゃんくらい怖い。

でも、オイラが怖いと思っているものを嫌だなぁとか苦手だなぁと、その界隈の人が言っていることに安心する。「き、きみたちを苦手だって言ってる人もいるんだぞ」と……顔を隠せるくらいの小さな盾をもらったような気がする。もちろんその人達がその気になれば、盾ごとオイラをぶん殴ることは出来るんだろうけれど、そこは安心したまえよ。オイラは今までの経験の中で「そういう人は見かけたら速攻で引き返す」つまり逃げることを学んだから。なにもしてなくてもまず逃げるぜ。

エッセイはそういうところも良いよな。エッセイがあることで救われる……までいかないけれど、助かることはある。もし自分が1000%悪くて、一歩社会に出たら袋叩きに合うような性質を持っていたとしても、味方になってくれる”ヤツ”が1人でもいるだけでずいぶん過ごしやすい。カバンや本棚にそっと忍ばせておける味方ってのはさ、良いもんだ。もちろんそれは、一方的な関係なんだけどね。

 

古本屋の前に寄った雑貨屋で購入。紙のお香らしい。