家の近所に和菓子屋があるらしいので、行ってみることにする。
オイラが最近ハマっていることは、Googleマップを眺めることだ。ジロジロ眺めていると、通ったことのある道の曲がり角に喫茶店があることを知ったり、遠いと思っていたスーパーへの道のりがこのルートで行くと近いような気がしてきたり。
で実際に行ってみると、確かにめちゃ早くスーパーにたどり着いたり、その角の喫茶店がすでに店を畳んでいることを知ったり。平面の図で眺めているから坂の勾配に気付かず、大変な思いをしたかと思えば、その坂道を越えたところにある蕎麦屋の蕎麦がめちゃくちゃ美味しかったり。
そういう楽しさの「キッカケ」をGooglemapは与えてくれる。もうこの街に住んで8年以上経っているのに、知らないこと、行ったこと無い場所なんて山のようにある。小さな街の小さな小さな土地でしか、オイラは生活していない。
先週もマップを見ていたら、団子といちご大福が絶品だという和菓子屋を知れたので、歩いてそこに向かうことにした。ピクミンブルームを起動するのを忘れずに。
この日は快晴。遅めのお盆休みを利用してこんなことをしているが、職場の同僚にはこの日のことを話しても面白がってくれないだろうなーと思いながら歩く。だって他人からしたらつまらないだろ、近所の和菓子屋に行きましたなんて話。オイラは大好きだが。
住宅街をジグザグに進んでいく。ひとんちに生えている庭木の影を、小島を渡るかのようにトッコトコと。だって暑いんだもんさ。日陰の島を渡っていると、縁石だけ歩いて帰ろうとした子供の頃の記憶が蘇った。結局途中で飽きて普通に帰ったんだったか。
島を作ってくれている木々たちの中にひとつ、ミモザの木を見つけた。ここの家のミモザは毎年春に、きれいな花を咲かせる。今はただ青々とした葉をなびかせているだけだが。
ミモザってやつは、本当にイタリアらしい木だなと思う。夏から冬の間は、あっちこっちにぴょんぴょんと枝を伸ばして、好き勝手に風に吹かれて手を振ってくる。だが春になるとその散らかり放題の、寝癖で大変なことになっているようなその枝に、黄色の可愛らしい花々でめいっぱい着飾って、自身が持つ美しさを爆発させている。自分勝手に春を祝福しているようにも見えてくる。んでまた夏が来ると、でろーんとしてる。そういう所がミモザらしくて、オイラは好きだ。
和菓子屋の前に着いた。こぢんまりとしている。ここまで結構歩いた気がするなと思ってGoogleマップを確認したら、20分くらい経っていた。あれ、そうでもないな。やはり暑いから道のりが長く感じたのか、それともジグザグに歩きすぎたか。
中に入るとさっぱりしていて、なんだか好きな雰囲気だ。ケースの中を見ると、評判の団子が売っているたのでそれを1つ。そして栗まんじゅうも変わった名前で売られていたので、それも1つ。お爺さんの店員さんが応対してくれた。
あっさりと用事が済んだが気は済まない。実はもう一つ気になっている場所があり、それはここから歩いて数分のところにある。行ってみることにする。
見慣れない看板の電気屋の脇を抜け、たどり着いたのがデイリーヤマザキ。ここがもう一つの気になる場所だ。
オイラはデイリーヤマザキの雰囲気が好きで、見かけるとつい入ってしまう。パンも美味いし31のアイスだって売ってる。しかし残念ながら近所にはない、と思っていたのだ。しかしGoogleマップを眺めていたら、徒歩で行けるところにあるではないか!いつか行こう!と思ってブックマークしておいたのだ。
店内に入ると、イートインスペースを見つけた。ちょうど良いのでここでお昼を食べていくことにする。パンやサンドイッチの棚に行くと、お爺さんの客が麺類を眺めながら、ゆっっくりと焼きうどんに手を伸ばしていた。どうやら足が悪いらしく、ちびちびと歩を進めている。邪魔しちゃ悪いなと思い、お弁当は一旦置いといて飲み物を選びに行くことにした。
オイラがお茶を持ってさっきの棚に戻ると、お爺さんはレジで会計をしていた。店員さんは「こういうの食べるの珍しいね!」とか「ゆっくりでいいよ、杖忘れないでね」と笑顔で話している。オイラの番が来たので、会計ついでにアイスコーヒーの小さいのを1つ注文して、イートインスペースに持っていった。
カレーパンを食べ終えて、再びGoogleマップを開く。この場所の星を確認し、星5を付けてレビューを書いた。「他の方も書いてらっしゃるとおり、なぜこの店の評価が悪いのか分かりません。イートインスペースはキレイで店員さんは優しく丁寧です。セルフレジの横には◯◯使えませんとの張り紙も大きく貼られていて親切だと感じます」
このコンビニに来たのは、こっちの理由のほうが大きい。そう、実はこのコンビニの評価はやたらに低い。レビューを見ると最悪だのなんだのと書かれている。しかし、そのコメントは全て数年前のものなのだ。最近のレビューの方が少ないのだが、読んでみると「意外に普通のコンビニです」とか、割と好かれているようなことが書かれている。
ひょっとしたら、色々あって改善してこうなったのかもしれない。もしかしたら、感じの悪い客に見つかっちゃって星1つけられたのかもしれない。それはオイラには分からない。分からないなら、確かめてみよう!と思って、見に来たのだった。そしてもしも印象が良ければレビューを書こうとも決めていた。
オイラはGoogleマップでレビューを書くのが結構好きだ。それも、高評価のレビューをだ。低評価のはオイラが書かなくても誰かがとっくに書いているので、たとえその店で嫌な思いをしたとしても書かない。(書かずに直接その店にメールを送る。)
でも高評価はなんぼあっても、書かれる側は嬉しいはずだ。だから書いている。もちろん書くオイラとしても、悪かった!って書くより良かった!と書きたい。特に良くしてくれた時には、これまたメールフォームに感謝の文を送ったりする。こういうことって、意識しないとオイラはできないし、多分意識した方が良いことだと思ってる。
レビューを書き終えると、次々とお客さんが入ってきた。誰かがアイスを買おうとしている。良いなーと思いながら店を出た。すでに日は大きく傾き、日陰の島は大陸になっていた。暑い暑いと言って過ごしていたこの8月も、実は少しずつ秋に近づいている。まだ午後4時だってのに夕方っぷりがすごい。
結局さ、Googleマップも和菓子屋もコンビニも全部、どこかに行こうというキッカケに過ぎないんだよな。ただ出かけられればそれで良いんだ。そこに目的があったほうが出かけやすいんだよ。
家に帰り、買ってきた栗まんじゅうを食べてみる。さっぱりとしていて美味い。地味な、奇をてらっていない、でも腰を入れて作られている。土地に根付いた、普通の和菓子だ。これはまた、行かないといけない。
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