wander around holding a soft oval

日記や雑記を書いています。それらの違いは分かりません。

祖母の尻

今日の朝、実家の父から電話があった。祖母が今週から来週くらいに死ぬかもしれないとのこと。どう答えたら良いのか分からないので、わかったと伝えた。

祖母の歳は95か98くらいだったと思う。オイラが大学生の時から実家を離れたので、それから帰省する以外で顔を合わせることがなかった。

 

祖母に纏わる思い出はいくつかある。祖母が男性用の小便器にお尻を突き出し、用を足していたのを目撃したりとか。

あの光景が一番鮮明に思い出せる。それを見て、女の人は小便器でも大便器でもおしっこができるのかと感心していた。よく考えたら男性だってそうだな。

なぜ祖母の排泄行為を見かけたのかと言うとだな…

うちの実家のトイレと風呂は離れにあったんだ。使用するには一旦外に出ないといけない。外にあると、田畑で仕事をして帰ってきた時に都合が良いんだろう。

そして、家から離れにつながる外の道から、お墓がズラーっと見えたんだ。近所がお寺だったもんでさ。

そのお寺は幼稚園も運営していた。夜になると、園内の緑色のライトに照らされているお墓が、こっちを見つめて来るんだよ。今思い出しても不気味だ。

だもんで、幼い頃のオイラはトイレに行くのも風呂に行くのもめちゃくちゃイヤだった。イヤすぎて台所でなんとかしようとしていたくらいだ。親に止められた。

なので、祖母にお願いして、トイレについていってもらっていた。オイラが大便器で用を足し終えてドアを開けると、捲り上げた尻を小便器に向けた祖母と目があった。あの時は笑いもせず、そりゃそうかと納得したんだよなー。

 

トイレだけでなく風呂にも付き添ってもらった。祖母は脱衣所で座って待ってくれた。オイラは裸でムカデと格闘しながら急いで自分の洗浄を済ませた。

風呂やトイレのたびに家族の誰かに付き添いをお願いするオイラを、父は叱った。外に囲いでも立ててくれたらこんな面倒なことにはならないのにね。と口答えすると殴られるので黙っていた。

 

2020年ごろかな?祖母はボケて、時々父が介護していたそうだ。「そうだ」と書いたのは、父がその話をしたがらないのではっきり知らない。母からなんとなく聞いた話で、想像である。母はほとんど介護をしていない。

父は、我が家に起きること(起きたこと)を家族に話さない。オイラが幼い頃に父が勤めていた会社が倒産したんだが、その事実を母はTVのニュースで知ったくらいだ。

祖母の介護にしても、実家に住む母と妹との三人で話し合って介護施設との契約の方針を決めたのに、いざ介護施設に向かった父は、全く違う内容の契約を結んできて帰ってきたそうだ。

それから急激に家族仲が悪くなった。オイラが仲介(仲裁)に入ろうとしたが、もうどうにもならない気がする。オイラだけ離れて暮らしているのもあって、家族の一人一人はオイラと普通に接してくれるんだが、それ以外の関係性がギクシャクしている。家族間で集まっているのに、親戚同士みたいなんだよ。

 

また元々、祖母は母との折り合いが悪かった。祖母は父母の寝室に勝手に入る。母はそれがイヤなので、扉にハンカチを挟めておくのだ。扉を開けたことが分かるように。それくらいの関係性だ。

ある日、そのことで母と祖母が口論になった。居間に居合わせた高校生くらいのオイラと中学生くらいの妹は、それを黙って見ていた。母が、というか大人が子供以外の誰かと言い合いになる様子を見たのは、あれが初めてだった。

彼女らがどんな言葉をぶつけ合ったのかは覚えていない。ただ、ケンカが終わり母が自室のある2階に向かったあと、その場に残った子供の我々に、祖母が言った一言は覚えている。

「あったにじぇんこやったのに、味方になってくれねんだが。」

訳すと、あんなにお金をあげたのに、味方になってくれないのか、だ。お金を貰ったのはそう、オイラたちである。まさかお年玉やお小遣いが、そういうための餌付けのようなものだったとは思ってもみなかった。

もちろん、今もそう思っていない。人間は思ってもないようなことをその場の雰囲気に流されて言うことがある。と、本で読んだことがある。だもんで祖母の心の底から発せられた恨み節ではないと思う。それでも、あれ以来、妹が祖母と口を聞いたところを見たことは無い。

 

そんな実家で祖母が死ぬ。オイラは、実家に帰るのがイヤだなぁという気持ちで胸がいっぱいである。自分は本当にどうしようもない人間だなと思うが、イヤなものはイヤである。

人が亡くなった時、その人に感じていた感情が変わることがあるそうだ。特別な出来事がなかったとしても、時間が感情を変えるわけでもなくて、急にころっと変わるらしい。

変わると良いんだがなぁ。あっちはもう雪らしい。靴どうすっかなー。