今年は「買ってよかったもの」を書く気になれないなーと思っていた。買って良かったもの、あるにはあるけども。サンポールを初めて使ったら入居開始時からあった便器の脇の謎のシミが取れて嬉しかったとか、手袋が暖かいとか、このゲームがこのノートがとかね。でもこういうことを詳しく書きたくない。
オイラは割と貧乏な方だと思うんだが、オイラより貧乏してる人は日本中に結構たくさんいるのも知っている。年末年始にどう過ごせば良いんだろう…と苦心してるヤツがいる中で「買いました」って報告位はまだ出来るけど「これを手に入れたら生活が良くなりましたわ~」ってブログを書くのは、どうも出来る気がしない。
でも自粛ムードを漂わせたくもない。買ってもらえてよかったと思うお店の人だって、沢山いるじゃんね。それに、自分で働いて得たお金を好きに使って何が悪いんだ!とも思うんだ。世界中にいる飢餓に苦しむ人間に心を痛めて飯が喉を通らなくなる…っていうような人間でもないし。その事実を知りながら飯はモリモリ食うぞ。
それでも、それはそれ、これはこれ。なんだかなぁ。気にしぃなのかな。わからん。
オイラが、買ってよかったものを書く動機ってなんだろう。他人に勧めたくって書くこともあるだろうし、自慢したくって書くこともあるかもな。あとは1年の振り返りのつもりで書くこともあるか。
これらの気持ちが今の自分には無いのかもな。勧めても合わない人には合わないし、自慢したところで心がスッキリするわけでもないし。物によって生活は良くなるのだろうけど、なんというか、物を得られなければ生活が良くならないわけでもないし。「◯◯が無い生活には戻れない」って言葉があるけれど、その置いてかれた世界の側に住んでいるオイラからすると、戻れないことは幸せなのだろうかとも思うしさ。うーむ我ながらめんどくさいこと書いてるな。嫌な感じだ。
それでも1つだけ、今年買ってよかったと思えたことは、ある。買ってよかったと人に伝えられることはある。本だ。本を3冊、他人に買った。
SNSのフォロワーが、ブックサンタで本を買ったよーと投稿していた。なんぞそれ?と気になって調べたんだが、どうやら匿名で知らない子供に本を贈ることが出来るらしい。よく分からないけど面白そうである、やろう。と思って、加盟している書店へ向かった。
隣町の書店に着く。本当にここが加盟書店なのか知っておきたい。しかしどう聞けば良いのか分からない。レジカウンターへ向かい、店員さんに「すみません、ブックサンタをしたいのですが」と聞いた。メガネの店員さんは驚く様子もなく、淡々とブックサンタについて説明してくれた。本の種類でNGなものはあるかなど、幾つか質問をした。
どうやら本当に、この世界にはブックサンタという取り組みがあるようだ。安心して子供向けの本コーナーに向かえた。棚の脇で座り込んで読書する子供や、母親の裾を引きちぎらんとする子供たちの邪魔をしないように、こそこそと本を眺めた。
最初は役に立つ本を選ぼうとしたが、やめた。自分が面白そうだと思った本のほうが、オイラは選びやすい。特に子供たちに何か、知識とか、本に込められたメッセージとかを受け取ってほしいわけでもない。そういうのは読んだ各々が勝手に解釈して受け取れば良いだろうから。
”ちょっとだけまいご・岸辺のヤービ・バッタマンション” の3冊を選んだ。選んだ理由は「面白そうだから」だ。自分で欲しいくらいだ。棚がいっぱいだし物をたくさん持つのは好きではないので、自分には買わないが。でもとても欲しい。欲しいものを他人に贈ることにした。
レジで会計をすると、小さなステッカーと冊子をもらった。冊子の中には子供たちのメッセージなどが書かれていた。なんとなく嬉しい。オイラが買った本をもらって、がっかりしなければ良いのだけど。
選んでいたら時間がずいぶん過ぎていることに気がついた。時計を見ると、後で行こうと思っていた店のランチ営業が終わっていた。仕方がないのでスーパーでひき肉を買って家に帰り、焼きそばといっしょに炒めて食べた。
オイラがブックサンタをやろうと思ったのは、子どもたちに本を贈りたいという、慈愛や慈悲の心からではない。面白そうだからだ。人に本を選んで贈ることが出来るのって、なんか面白そうじゃないか?オイラはそう思った。だからやってみた。やってみて良かったなと思えた。
まず、物を買ったのに自分の棚が埋まらない点、これが良い。オイラは本が結構好きだ。けれど沢山は持っていない。それは、本の管理が面倒だから。だからもっぱら本は借りて読んでいる。ありがたく図書館を使わせてもらっている。買った本も、9割は図書館に寄贈したり人にあげたりする。
でもそれらの行動は、本を持っていたくないからであって、本を買うという行為は好きなんだ。ゲームは好きだがレアアイテムを所有する欲がないとか、オイラはそういうところがある。好きなものを買うという体験が好きなんだろうな。その体験をさせてもらえるなんて、ブックサンタよ、良いじゃないか。
もう一つは、本を選ぶ時の視界の広がりが変わった点だ。これが良かった。
今回オイラは「面白そうだから」という理由で本を選んでいるが、その一方で「こういう本を喜んでくれる・面白がってくれる人もいるんじゃないか」とも考えながら、棚を眺めた。こういう考えは今まで無かった。
オイラはすごーく偏屈で臆病で根暗な人間だ。そういう自分は、書店の棚をあまりまじまじと見ないように心がけている。本のタイトルや帯や側にあるポップが怖く感じることがあるし、責められているように感じることもあるからね。情報が多いのも苦手だ。そういうものばかり眺めていると、ブルーな気持ちになったり、ムカムカしてくるし、ソワソワもしてくる。あまり気持ちが良くないまま書店を後にすることが多いから、なるべくたくさんの棚を見ないようにしている。
今回の取り組みの中でオイラは、児童書の棚だけでなく、一般の本の棚も、話題書籍の棚も眺めた。それでもぜんぜん嫌な気持ちにならなかったのは、他人のことを考えていたことで気持ちが分散されたからなのか、それとも他人のポジティブな感情を想像したからなのか、よく分からない。
分からないけれども、オイラはあの日、色んな棚を眺めることが出来た。すごく視界が広かった。そして「こういう本を好きな人もいるかも」という気持ちが、少しだけ「こういう本を好きなオイラもいるかも」という方向に偏ったような気がする。この感覚は明日になったら戻っているかもしれない。それでもブックサンタよ、良いじゃないか。
今回オイラは本を買った、これが今年唯一、人前で晒せる「買って良かったもの」だ。ブックサンタを勧めたい気持ちは別に無い。他人に奉仕したければ他の方法はいくらでもあるし。体験に金を使ったわけでもないので自慢することも特に無い。ほんの棚を眺められるようになるなんてこと、金を払って得る体験としてズレているような気がするもん。すでに手書きの日記にこの日のことは書いたので、自分の気持の整理をつけるためにこの記事を書いたわけでもない。
じゃあなんで書いたのか。結局のところ、書きたかったから書いた、としか言いようがないのかもしれないな。衝動的に、書きたいから書く。ブログの本質のようでもあるが、よく分からない。
自分の気持ちもよく分からないままに今回のブログは終わろうと思う。来年もブックサンタ、出来ると良いな。

今週のお題「買ってよかった2024」