逆転裁判2の編集が、今終わったところだ。後はこれを全て予約投稿しさえすれば、私の逆裁2実況は完結する。
編集中に2回も泣いてしまった。80話で御剣が「並んで立っている」と言ったところと、79話で真宵ちゃんに会えたところで泣いた。
ひ~いいゲームだなぁ~と言いながら鼻をかんだ。どのシリーズでもこうだ。
いつも泣きながら編集して、スッキリした気持ちになる。
しかし今回はスッキリしなかった。思うことが沢山あったから。
水を差されるのはお好きだろうか。知っているよ、好きな人って多分いないだろう。
喜んでいる人間の顔に砂をぶっかけるような行為、されたくないししたくない。
でも、どうしてもしたくなる時ってある。だからここに書くことにした。書き終えて読み返したが……長くなったな~。
もし万が一、水を差されてもいいからお前の考えを読ませろという方がいたら、この先も読んでくれ。もう多分、ここまで書くことはないと思う。
捨てたという事実
【角無】逆転裁判2【のんびり実況】 - YouTube
今回の事件の鍵であったはずの、天野由利恵(ユリエ)の遺書。あれは偽物だった。鑑定の結果、藤見野イサオ(フジミノ)が用意したものだと分かった。
偽物の遺書には王都楼真悟(オートロ)がユリエにしたことだけが書かれていた。
法廷ではそれ以上、遺書についての審議は行わなかった。書いた本人がいないのだから当然だ。
オートロにダメージを与えるため、フジミノはあの場に遺書を用意した。これは間違いない。
私が気になったのは「オートロに捨てられて」という記述だ。
ユリエはフジミノの元婚約者だ。そしてオートロはフジミノのライバル。ユリエとオートロに男女関係があったと知られるのはまずい。
「フジミノはなぜユリエと婚約破棄をしたのか」がバレてしまうではないか。
彼のイメージはガタ落ち。オートロだけでなく自分自身も大きなダメージを受けてしまう。それは避けたい。私ならな。
しかし当然のように書かれているんだ。オートロに弄ばれた事実が。つまりフジミノが、自分の首を絞めるような行為に走ったことになる。
フジミノはオートロに復讐したかった。復讐なんぞ考えている時点で、冷静ではない。怒りに狂っていたのだろう。
だから自分の保身のことも考えられなかった。私はそう思う。
千尋さんから「オートロのことが書かれていなかったから、偽の遺書を用意した」というようなことを言われた。
私は「オートロのこともフジミノのことも書かれていなかった」ということも、あるかもしれないと思った。
もし遺書にオートロのことが書かれていなかった場合、我々は一つの事実を失ってしまう。
ユリエはオートロからの仕打ちに絶望して死んだかどうかは分からない、ということだ。もっと言えば、彼女がオートロを恨んでいたかすらも、分からなくなる。
記者会見
フジミノはトノサマンの格好で記者会見に臨もうとした。
彼がオートロのフリをする意味もなければ、リスクが高すぎる。
フジミノは、トノサマンとオートロの知名度を利用して記者会見を開こうとしたのだと考えている。
グランプリの優勝者とNo.1ヒーローが、賞を貰った後に会見を開く。当然多くの人が注目する。
そこでマスクを外したフジミノが、彼にとっての真実を明かすのだ。幸せの絶頂にいるあの男を突き落とすために。復讐のためにだ。
悔しくなかったのだろうか。
彼はフジミノとしてでも、忍者ナンジャとしてでもなく、自分に勝ち続けたオートロの、トノサマンの皮を被って人を集めた。
憎い人間になりすます必要が彼にはあった。復讐のためだろう、それは分かっている。
しかし、初めから本人として記者会見を開いても、かなり多くの人間を集めることが出来たはずだ。グランプリ優勝者と争い続けた男の会見だ。注目しないはずがない。
自分のプライドを捨ててまで、オートロを潰したかった。それは分かっている。
それは逆に言えば、彼は自分のプライドを捨てなければオートロを潰せないと思っていた。ということにならないだろうか。
フジミノは、今回の役である忍者ナンジャ”を”懸けていた。何”に”懸けていた?彼を打ち負かすことに、だ。結果二位だった。
自分を捨ててまで復讐を選んだ。復讐とは、全てを投げうたなければ、いや投げうっても達成出来ないものなのか。
フジミノは、オートロから彼女との関係を聞かされて怒り狂った。
つまり、それまでユリエはそのことを隠していたということになる。勿論言わなくても良いことだ。元カレの存在などどうでもいいだろう。
しかし、ユリエはオートロの元マネージャーで、フジミノのマネージャーだ。彼らがライバル同士であることは承知している。
そんな彼女が今まで隠していた。私がフジミノなら……ユリエを恨むだろうな。なぜもっと早く言ってくれなかったんだ。せめて貴方の口から聞きたかった、と。
偽の遺書を用意するだなんて行為、最低だ。人の死をモノのように扱いやがって。
しかし、フジミノがユリエを恨んでいたから、遺書を偽装するような真似が出来たのだとしたら、彼の気持ちは分からんでもないなと思う。
遺書の噂
他に遺書の存在を知っていたのは誰だったか。荷星さんとオートロと……華宮霧緒(キリオ)か。
荷星さんが知っていると言っていたのは、ただの噂を知っていただけだろう。彼が遺書の存在を裏付ける根拠を、持てるはずが無い。警察から聞けるわけもなし。
自殺なのに遺書が見つからないのは何故だろう?きっとどこかにあるんじゃないか?と、騒がれた。それを聞いた。その程度の話だろう。
残りの二人が誰かに遺書の存在を漏らすことも考えられない。お互いにとって不都合だ。
オートロは、フジミノの家に仕掛けた監視カメラで、遺書の存在を知ったのか?
それはおかしい気がする。それならば奴は、遺書の存在を知る前から監視カメラを仕掛けたことになる。
確かに目の前をチョロチョロされていては腹も立つだろう。しかしそれだけのことで監視カメラなど付けるだろうか。
フジミノの弱みを掴むためにカメラを用意した?オートロは常に勝利し続けていた。敗者である彼をさらに失脚させるようなこと、リスクを冒してまでするだろうか。
きっとオートロは、噂を聞いてしまったのだろう。荷星さんが聞いたような噂を。
もしそれに、自分のことが書かれていたら?事務所の力でもみ消したであろうスキャンダルが、万が一明るみになったら?
春風が死んでしまうだろうな。それは避けなければいけない。だから監視カメラ「だけ」用意したのだ。まずは遺書さえ見つかればどうでもいい。
邪魔なフジミノを殺したかったらとっくに殺しているだろう。監視カメラなんて仕掛けずとも。
そしてキリオ。彼女ははっきりと我々の前で遺書の存在を明かした。実は遺書は書かれていたのだと。
なぜ知っているのだろう?まさかその現場を見たとでも言うのだろうか。それとも警察から指先に付着したインクのことを聞いた?……どちらもありえない。
今回の事件が起こる前に、彼女は伝えられている。記者会見の計画をフジミノから。そうだ。偽の遺書を用意した男からだ。
つまり彼女が燃やしてしまいたかった遺書は、始めから偽物だったのだ。
おそらく彼女も、遺書の噂を聞いたのだろう。あるいはそう予想したか。きっと遺書はある、フジミノが持っているはずだと。だから近づいた。
そして彼から遺書の存在を確認した。そういう経緯があったのではないかと考える。
……そう考えると、彼も彼女も不憫だ。偽物の遺書が繋いだ偽物の関係か。
言い出しっぺ
はーー長かった。ようやくこれを書ける。
亡くなったフジミノだけが、本物の遺書に何が書かれていたかを知っていた。そして偽の遺書だけが、ユリエへの無慈悲な行いを示している。
つまり。ユリエへの行為も、彼女が亡くなった理由も、過去に何があったのかも。遺書の行方すらも、本当のことは誰にも分からないのだ。
今までダラダラ書いていたわけではないぞ!急に「誰にも分らない」って書いたってしょうがないだろう。前振りというか、前説のために書いていたのだ。(半分くらいは)
そんなことはない……?オートロは悪い男だ?過去にこんな酷い行いをしたのだ?裁かれて当然だ?
それを最初に言ってきたのは誰だ。華宮霧緒だったな。
忘れてはいけない。華宮霧緒は、天野由利恵に依存していた。後追いで死を選ぶほどに。
彼女がどういった切掛で、ユリエに依存したのかは分からない。二人の詳しい関係を知る由もない。しかし、依存していたのは事実だ。
いや証言台に立ってもなお、まだユリエに依存していたとすら言えるだろうな。
そんな人間の言うことを、私は信用出来ない。
オートロのファンが「彼の心根は優しいんですよ!知っているんです」と言ってきても信じられないだろう。私にとっては同じことだ。
誰も本物の遺書を「読んでいない」のだ。
フジミノから聞かされたこと、依存相手に起こった悲劇、オートロの悪評。これらを結びつけた彼女の事実を、私は聞かされ続けていただけに過ぎない。
オートロがユリエと別れた。その後彼女はフジミノと出会い、結婚した。その後二人は別れそして、彼女は死んだ。
ユリエさんに起こった事実はこれだけだ。残念ながら、これしかない。それ以上の情報は、依存していた人間の口と、偽の遺書からしか得ていない。
ユリエさんの死と遺書の話は、今回の事件における綻びのようなものだ。
一見関係のない糸を引っ張ってみたらボタンが外れてしまった。あるいはボタンを外すために適当な糸を引っ張った、というような。そういうものだと思う。
愛をこめて
留置所で本性を表したオートロは、実はユリエさんのことには一言も触れていない。
(あの場で証拠をつきつけることは出来ないようになっている。実際にやらないと分からないことだが)
最後の法廷で、裁判長はヤツに「一人の女性を自殺にまで追い込んだ」と言い放った。その時彼はユリエについてなんと言っただろうか?
そうだ。何も言わなかったのだ。彼があの場で語ったのは”ボンクラども”への誹謗とイメージダウンについてと……無罪判決の要求くらいだ。
言っていないのだ。彼女のことに関して、本当に何も。侮蔑の言葉すらも。
私が、オートロとユリエの関係を知ることが出来る唯一の証拠は、写真だけだ。
他人を使い捨てる人間がなぜか自分の部屋に置いていた、あの写真立てだけ。
本当に恐ろしいものは
例え彼が、殺し屋に仕事を依頼したのにも関わらず「自分は殺していない」と心の底から思っていたとしても。
そしてその件で彼が有罪になり、犯罪者としての名を背負ってしまったとしても。
それでも、やっていないかもしれないことを、やったことと決めつけるのはおかしい。
ユリエが苦しみ抜いて亡くなった。それをオートロのせいにするのは早合点だ。証拠がない。
あの法廷で奴が裁かれたのは、フジミノの殺害についてだけだ。彼の人間性についてではない。
それに。
天野由利恵のような女性に、非業の死を遂げた悲劇の人物という肩書を載せただけで満足してはいけない。
王都楼真悟をクズ呼ばわりするために、死者にストーリーを載せてはいけない。
死者の人生に、自分の利益のために肉付けをするような真似なんて。
偽の遺書を作ったフジミノや、他人を利用して生き続けるオートロと、そんなに変わらないと思うのだ。
嫌いな奴がするようなことを、私は出来る限りしたくないと思った。
そして、いつかするかもしれないとも思ったし、もう既にしてるかもと思った。それが怖い。
だからこの文章を書いたところもある。今の私への戒めというか、未来の私を諫めるためというか。
あの法廷の空気に感化されて、また正義の名のもとに、あるいはストーリーの分岐を楽しむつもりで、弁護士としての権利を主張しないように。
笑ってんじゃない
遺書を残して自殺をする方の割合は、18年度では3割程度だったそうだ。
本物の遺書に何が書かれていたのか……それは分からない。しかしユリエさんの”遺書”は結果として、オートロとフジミノを散々振り回し、破滅へと追いやった。
あるかどうか分からないようなものが、男2人を狂わせたのだと思うと恐ろしいと思う。もっとも「人を呪わは穴二つ」というやつなのかもしれないが。
ではキリオは?満面の笑みで感謝を伝えてきたあの女性は……そりゃあ満足だろう。
復讐は果たされたのだから。彼女が掘った二つの穴は、あの男たちが入って定員オーバーさ。
葉中未実、木下大作。彼らは残忍な殺人鬼でも、狡猾な詐欺師でもない。ただの人間であった。彼らは罪を認め、罰を受ける。その後の人生を歩んでいくために。
しかし刑期を終えたからといって、彼女らの記憶を抹消することは出来ない。過ちを償うことで過去を断ち切れるかどうかは、分からない。
葉中は妹を利用し霧崎を殺した。木下は育ての親を殺しその罪をなすりつけた。
その記憶は、過去は、決して消えることはない。償ったから人殺しがチャラになったと、考えられるような二人ではないだろう。
それでも華宮霧緒は笑っていた。
自分の人生を復讐のために使ったあの女性は、恋人の死体にナイフを刺し、死体を利用して復讐相手を嵌めようとした。
その罪をすべて認めた女性がありがとうと伝えてくる。救われたと。一体、我々が何を救ったというのか。
また前を向いて歩けるようになれたのは、彼女自身が勝手に救われたと思い込んでいるからだ。我々は法廷で議論した。決して彼女のためではない。
我々の議論やこの法廷が貴方を救ったと言うのならば、それは勘違いだ。勝手に「自立心」が芽生えただけに過ぎない。
決して、決して貴方の憎しみを昇華したり貴方の過去を「人生の教訓」として転嫁させるために議論したのではない。過去は変えられないんだ。人が死んだ。犯人の人生が変わった。それは我々と、貴方が関わったことなのだ。
貴方の人生は、ここから始まるのではない。
いかなる理由があろうとも、償ってもいないのに、救われただなどと笑みを溢すな。
終わりに 逆裁2について
だから最初に書いたんだぞ~!水を差すぞと。
逆裁は、私には向いていないよ。向いているけど向いてない。
他人の人生を扱うには、私には荷が重すぎるし。私の考え方は逆裁に対して重すぎる。
逆裁が重いからしんどい!ってのではないんだ。逆裁よりも自分の考えの方が暗くて重くて、自重がしんどいのだ。
それが楽しさにつながっているのだけれど、自分が自重で呻いている時にギャグパートを挟まれると浮上するのに疲れるなと思った。(救われることの方が多い)
それに、いい話で終わらせられたり、救いを渡されることもまた疲れる。ゲームなんだから仕方がないところもあるのだけど。
それでも、裁判に良いも悪いもないと思うし、判決は結果でしかない。クズ(という表現は使いたくないけれど)だろうと善人だろうと、人を殺したら殺人犯なのだ。
善人だから許すとか、クズだからメッタメタに裁くとか、そんなこと出来るような立場にない。ただの人間如きの私が。
自分の感情を弁護士バッジに込めて気に入らない敵をぶん殴るプレイは、私にとっての逆転裁判では、したくないと思うんだ。そんな人間になりたくないんだ。
でもそういう気持ちになる自分が嫌だし、怖いと思う。
オートロがあそこまでの人間として書かれているのは、きっとプレイヤーへ最高のカタルシスを提供するためだったのかなと思う。
しかし裁判でカタルシスを感じている時点で、弁護士バッジを付けてちゃあいけないだろ、とも思うのだ。
当然だが、それを言い出してしまうと「逆転裁判の楽しさ」っていったい何なんだよという話になってしまうだろうな。
なんだろうな……裁判であんなにふざけてたら、当たり前だけどダメだろう。でもゲームだから全然良いのだ。そう、ゲームだから楽しければOKなんだ。
でもそこに2の持つシリアスさ?生生しさ?が加わることで、現実世界に生きている自分の気持ちとの剥離というか……2の持つ2つの楽しさへの矛盾を感じてしまった。
最初の方に書いたが、良いゲームだと思っているんだ。前に葉中について書いた時だって、あれは毎日のように考えて考えて、それで捻り出た文章なんだ。
元々文章を書くのは得意じゃあない。言葉もよく知らないし、教養があるわけでもないし。でも、あそこまで考えさせられたってことは、あのシナリオは私にとって楽しかったと言えるんだ。木下のシナリオだって、今回だってそうだ。
面白くもなんとも思えないものに、ここまで書けるか。
でも、私は逆転裁判2が想定しているプレイヤー層と、どこかズレている気がするんだ。
だから気持ちの整理がついたらやるだろうし、付かなかったら一生やらない。
逆裁がクソゲーだからやらないんじゃない。面白かった。それは動画を見てくれたら分かるだろう。もしもまたプレイ出来たら、楽しいだろうなとも思うしな。
ということで、このクソ重感情が乗りに乗っていた逆転裁判2実況をよろしくお願いします。みんなでしんどい気持ちになろうよ……私の実況はジャマかもしれんけど。